Don’t Say No -心が近づくとき-
幼馴染から恋人に発展した大学3年生のレオ(ジャー)とフィアット(ファースト)。恋人になるまで紆余曲折ありながらもついに心を通わせた2人だったが、長年の友人関係を恋人の関係に移行させるには問題が山積みだった。これまで一途にフィアットを思い続けてきたレオは、恋愛経験の豊富な彼にどのような愛情表現をすればいいかわからず、戸惑う日々が続いていた。そして互いに「友人」としては言えていた言葉が「恋人」に変わってからは伝えられなくなっていた。そんなとき、レオに思いを寄せる相手が出現し、フィアットは不安な気持ちを募らせる。さらにレオの両親の元に、フィアットの過去に関するある写真が届き…。2020年放送のタイBLドラマ「ThaType2 -7Years of Love-」に、サブカップルとして登場したレオとフィアット。友愛なのか恋愛なのか、愛しすぎて憎むほどになってしまったのでは…という複雑な関係で視聴者を翻弄したふたりが、本作では親友から恋人となって帰って来た。脚本は、国内外で大ヒットした「ThaType」シリーズの原作者MAMEによる書き下ろし。ようやく甘い日常が描かれるのかと思いきや、お互いへの愛情表現が不器用なうえに数々の障害が待ち受け、またしても波乱の展開だ。そしてそんな予測不可能なストーリーを、初主演となるレオ役のジャーとフィアット役のファーストが、前作から培ったコンビ力でより濃く描き出している。
レオとフィアットは自他ともに認める恋人となったものの、幼なじみで親友だった期間が長すぎたあまり、「恋人って何をするんだ」という疑問に突き当たる。それでもフィアットは、甘えた声で「レオ~」と呼んだり、大きな瞳をパチパチさせながらおねだり。不安な時や見せつけたい時は、人前でレオの腕に自分の腕をしっかり絡めたりもする。意図的でも無意識でも、小悪魔っぷりを発揮するのだ。レオはフィアットのかわいらしさを噛みしめつつ、自分の恋愛偏差値の低さを痛感。けれど呼吸するように甘やかし大切にする無償の愛情や、「ずっとそばにいる」と約束することが、何よりフィアットを幸せな気持ちにしているのだった。そんな甘い恋愛模様も必見だが、高校時代から肌身離さずつけているペアネックレス越しに交わすキスシーンは美しく官能的。ぜひ堪能していただきたい。
意地っ張りなフィアットはレオに対してかわいい「No(嫌)」を言うこともあるが、両親からの愛を知らず、不特定多数の男と遊んでしまった経験から、自己否定の「No」にがんじがらめ。レオはそんな彼に、「自分を嫌うな」「過去にとらわれるな」「過去のことは気にしない」と言葉や態度で伝え、解放されるべき「No」を教え続けてきた。同時に「お前を嫌うことはない」「お前を捨てる日は来ない」「過去は変えられなくても容認すれば将来は良くなる」と、フィアットが求める「No」を与えてくれるのだ。リオンは女の子からの本気の恋心に「No」を突きつけてきたが、ポップパーンを好きになるたびに、そんな否定の言葉は言えなくなってしまう。恋とともに成長する青年たちが、自分と大切な相手にとって必要な「No」を見つけほしいと、願わずにはいられない。